健康番組の功罪

「昨日、TVでやってたんですけど・・・」、そう言って受診される患者さんは少なくありません。どの患者さんも「もしかして自分もこの病気じゃないか」「この薬を飲めばよくなるんじゃないか」と、不安や期待を胸にして来院します。しかし、その多くの方はその不安が杞憂であることにホッとして、また別の人達は期待がはかなく裏切られてお帰りになります。

こんなことを言うとマスコミ関係の方に叱られてしまうかもしれませんが、所詮はマスコミの作った健康番組です。視聴者にチャンネルを合わせてもらえるように、あるいはチャンネルを変えられないように面白おかしく番組を作ってあります。普段、第一線で診療している身としては「そんなレアケース(まれな病気)をいちいち心配していたら時間も医療費もいくらあっても足りない」って思うことだって決して少なくありません。

健康への関心を喚起するのは大変いいことなのですが、ともするとマスコミは「煽るだけ、煽る」というような番組でセンセーショナルで一方的な情報を垂れ流します。原発事故や放射能のときもそうだったように、見る側にも「この情報は正しいのか」といった意識を常に持つべきです。その意味で、我々医療従事者も正しい情報を提供できるよう日々の勉強は欠かせません。

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