恐怖は突然やってくる

昨日は雲がたれこめ、ときに激しい雨が降るなど、全般的に天気がよくなかったせいか、いつになく過ごしやすい一日でした。しかし、今日は一転して朝から「じりじりと太陽が照りつける」という表現がぴったりの好天気。気温もぐんぐんあがって、冷房の効いた部屋から外に出ることができません。天気予報も「不要不急の外出は控えて下さい」とコロナ流行のとき以来の表現で注意を喚起しています。

こういう季節に注意しなければならないのは熱中症。私はこれまで三度の熱中症を経験しました。しかも、それなりに重症な「熱疲労」と呼ばれる中等度の熱中症になりました。そのときの経験談についてはこれまでもなんどかこのブログで記事を書いてきましたが(右の検索エンジンにて「熱中症」で検索してみてください)、ここでは私自身の経験をふまえて要点だけを繰り返します。

1.「滝のような汗」は黄色信号

三回の経験ともに、「滝のような汗」が熱中症の前触れになりました。暑いときの「滝のような
汗」はむしろ気持ちがいいものです。しかし、それが大変な落とし穴。そのまま「滝のような汗」
をかくままにしていると、次のステージに重症化が進みます。なぜなら体から大量の水分と塩分
が失われるからです。水分と塩分は血圧を維持するための重要な要素。取り過ぎれば血圧があが
りますが、失えばさがります。高血圧の人は「塩分控えめ」を心がけていると思いますが、さす
がに「滝のような汗」をかいたあとは水分と多少の塩分を補給する必要があります。

2.突然襲ってくる強い脱力感

「滝のような汗」のままにしていると、突然、強い脱力感に襲われます。この脱力感は、私のよ
うにそれなりに若いと思っている人間でも立っているのがむずかしいほどのもの。その場で横に
なりたくなります。あるときの経験では、10メートルほど先に自宅の玄関が見えているのに
「はたしてたどり着けるだろうか」と不安になるほどの脱力感でした。なんとか玄関までたどり
着き、ドアを開けると倒れ込むようにして中に入りました。ようやく玄関に入れた私ですが、
冷房の効いた部屋まではって行かなければならないほどです。おそらく、畑で熱中症となって亡
くなった高齢者は、きっと「まだできる」「あそこまでやってしまおう」と滝の
ような汗をぬぐ
いながら作業をし、突然襲った強い脱力感にその場でへたりこんだのでしょう。炎天下でそうな
ったらもう立ち上がれないはず。突然襲ってくるこの脱力感はとても恐ろしいものなのです。

3.対処は「冷却、水分と塩分の補給」

脱力感だけではありません。軽く嘔気も感じ、心なしか意識がもうろうとしているようにも思い
ました。家内に冷えた水分と多少の塩分を補給すべくもってきてもらいました。家内の表情を見
上げると、「医者のくせに何してるの」と思っているかのようなあきれ顔。確かにそうなのです。
以前、日光でも同じような熱中症になっていましたから。さすがにそのときは自分の体力を過信
していることを実感しました。ですから、熱中症は体力はもちろん、年齢にも関係ありません。
先日も部活帰りの中学生が熱中症で亡くなりました。水分の補給はしていたとのことですが、
おそらく塩分の補給がなかったため、自宅への帰り道に自転車をこぎながら大量の汗で塩分を
さらに失って重症の熱射病になってしまったのだと思います。ほんとうに可哀想でした。

4.蒸し暑さにも要注意

日光で熱中症になったときは、森の中でしたから気温はさほど高くはありませんでした。そのか
わり湿度が高かったのです。湿度が高いと汗が蒸発しないので体を冷やすことができません。
そうなるとさらに汗が出るという悪循環になります。日光ではもう少しで目的場所であった徳川
家康のお墓にたどりつくところだったのにその直前で石畳の上に倒れるようにダウンしてしまい
ました。幸い、日差しは強くなく、石畳が冷えていたことが功を奏してしばらくすると回復しま
したが。「室内にいても熱中症」というのはこのような湿度の高さが原因です。

 

【結論】

●「気温の高い環境」と「湿度の高い環境」を避けること

●「滝のような汗」は赤に近い黄信号。すぐに涼しい場所で水分と塩分の補給を。

● 恐ろしい「強い脱力感」は突然にやってくる。意識がもうろうとするときは赤信号。

● 熱中症予防では水分補給だけではだめ。必ず塩分の補給を。高血圧の人も例外ではない。

● 熱中症予防は「うすめた味噌汁」あるいは「うすめたスープ」。「OS-1」でもよし。

  → 冷やしたものを補給しよう。早め、早めに補給すること。

  → まずい「OS-1」も「青リンゴ味」なら飲みやすい(当院の隣の薬局にあります)

  → ポカリスエットなどのスポーツドリンクは糖分が多いのでだめ(薄めれば可)

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