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院長が気まぐれな雑感を述べます。個人的な意見が含まれますので、読まれた方によっては不快な思いをされる場合があるかもしれません。その際はご容赦ください。ほんとうに気まぐれなので更新は不定期です。
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ついに来ました。

ついに今日(9日)、東京都や神奈川県などで実効再生産数(ひとりの患者が何人の患者にうつすか、をあらわす数字。これが1.0を下回ると感染者数が減少に転じるとされています)が1.0を下回りました。よっぽどのことがなければ今週中に、早ければ明日にでも全国の実効再生産数も1.0を下回って流行のピークアウトが発表されるでしょう。これで第7波も収束していくでしょうが、ウィルスの変異はこれからも続きます。もし第8波となっても、「感染力は強くなっても毒性は低下する」の原則は不変だと思います。くれぐれも煽られないで冷静に対処しましょう。

【資料】新型コロナウィルス 国内感染の状況

今さらだけど

ずっと前から私がいってきたことをいくつかの学会がようやくいいはじめました。第七波のピークアウトもそろそろって頃になって遅まきながら、という感も否めませんが、とりあえずはこのながれがもっと広がればいいと思います。でも、なぜかマスコミはこのことを大々的に報道しませんよね。視聴者をこれでは煽れないからですかね?病院の人たちはもう疲弊しきってますよ。

【ネット記事】症状が軽い場合は受診を避けて 日本感染症学会などが緊急声明

でも、間違わないでください。「軽症は受診を避けて」というよりも「受診の必要はない」ってことですから。理由は先日のブログで書きました。また、重症感が強い場合、とくに呼吸回数が多くなるような息苦しさをともなう高熱や4日以上の高熱は積極的に発熱外来に受診してください。ただし、あらかじめ電話をしてからお願いします。

これでいいのか、日本。

検査にはこんな側面もあります。薬局でも検査キットが買えるようになっています。世界で一番陽性患者が多くなるはずだと思いませんか。「無症状でも陽性」「軽症でも陽性」を確認する意味ってなんでしょう。つくづく原則が無視され、やみくもに検査が行なわれているんだなって思います。

【動画】無料PCR検査で「商品券」

マスコミには世間を騒がせる報道ばかりではなく、こういう問題提起する報道をしてほしいものです。

烏合の衆になるな

冒頭、申し上げます。

マスコミに煽られないでください。

軽症の場合は解熱剤や風邪薬を服用する必要はありません。

検査で「感染したか、しなかったか」の白黒をつけることも重要ではありません。

発熱外来は「重症化しそうだ、したかもしれない人」が受診するところです。

   ウィルスは変異を繰り返して感染力を強めますが、毒性は逆に弱まっていく傾向があります。

つまりは、軽い風邪症状の場合は検査の有無とは関係なく、自宅内隔離をして経過をみることで十分です。つらくなければ薬の服用も必要ありません。発熱があっても2,3日で解熱傾向となれば心配ありません。よほどつらくなければ解熱剤を使わずに様子をみても大丈夫です。息苦しさをともなう咳、あるいは4日目になってもさがらない高熱のときは発熱外来(かかりつけ医)に電話で相談してください。

本文は私の個人的な見解であり、みなさんに押しつけるつもりはありません。また、新型コロナウィルスの感染状況を怖がっている人を否定するつもりもありませんし、今回の記事で楽観的なことを気休めで書いたつもりもありません。医療従事者として「(私が考える)まっとうなこと」を述べたにすぎません。そのことを念頭に読んでいただければ幸いです。最後に、毎日忙しく病院で働いているすべての方々に感謝します。

 

*********************************** 以下、本文

新型コロナウィルス(以下、COVID-19)の第七波がこれだけの広がりを見せていながら、私がこのブログでコメントをしないのはなぜだろうと思っている方がいるかもしれません。流行に変化の兆しが見えるたびに、適時・適切に役立つと思われる情報を記事にしてきました。しかし、今年の1月に「バカなんですか?」という記事を掲載して以来、半年にわたってCOVID-19とは関係のない話題でブログを更新してきました。

第三回目のワクチン接種がはじまり、たくさんの人に追加接種が進むにつれて、COVID-19の流行はいったん下火になっていきました。それはまるで「これでついにCOVID-19感染症も終わりになるのか」と勘違いするほどの勢いでもありました。みんながホッとしたのもつかの間、6月に入ると一転して感染者が急増。あれよあれよという間に感染が拡大し、多くの地方自治体で「過去最多」を更新するほどになってしまいました。

そんな状況をマスコミが誇張するせいで、これからどうなってしまうのだろうと不安になっている人が少なくありません。それはあわてて四回目のワクチンを接種する人たちを見ても、「風邪症状があるがどうしたらいいのか」と当院に電話してくる人たちの多さからもわかります。しかし、私は「これまでこのブログに書いてきたこと」を繰り返すしかありません。しばらくCOVID-19の話題を書かなかったのはそのためです。

私がはじめてCOVID-19について言及したのは2020年1月。以来、26回にわたってそのときどきに伝えられていた情報を整理して記事にしてきました。それらの多くの情報は今でも間違っていなかったと思います。そして、それは次々とあらたな変異株が出現しても、大きく変わることのない情報でした。でも、マスコミはそんなことはお構いなしに、流行するたびに「今日もこんなにたくさんの感染者が発生した」と煽ります。

これまでがそうだったように、マスコミでは「感染者の多さ」をことさら強調するだけで肝心なことを伝えません。その「肝心なこと」とは「感染した多くの人の症状はおおむね軽症だ」ということです。何万人の人が感染しようが、それが「単なる風邪症状」であって、重症化する人がほとんどいないのであればなにも恐れることはありません。ましてや経済を犠牲にしてまで、行動規制をする必要はないはずです。

「気にせずごく普通の生活をするべきだ」と言っているのではありません。今、流行しているCOVID-19の感染力は確かに強く、手洗い、うがいを励行し、TPOに応じてマスクをすることは引き続き大切です。しかし、それは自分が感染しないためというより、自分が意識しないところで他人にうつさないためです。感染してもほとんどの人が軽症で終わりますが、運悪くうつした相手が重症化しやすい人かもしれないからです。

今、ものすごい勢いで感染が拡大しているように見えます。でも、一番の関心事は「COVID-19に感染したかどうか」ではなく「重症化するかどうか」にあります。感染した人の多くは、咽頭痛や倦怠感、高熱が出ても2,3日で解熱傾向となり、一週間ほどで治っています。おおむね「ただの風邪」なのです。とくにワクチンを接種している人はことさらに心配する必要はありません。問題はワクチンを接種していない人たちです。

「ワクチン接種に意味がなかった」と反ワクチンのデマがながれています。これは国際機関の正式な発表をもとにしたものではありません。「ワクチンは無効だった」などというデータはないのです。確かに、COVID-19の変異が繰り返されるたびにワクチンの効果は減弱していきます。しかし、現在のB.A.5という変異株でさえもワクチンが重症化を防ぐ効果は三回の接種で70~80%とある程度はっきりした数値が報告されています。

ワクチン接種はあくまでも任意です。接種することを強制することはできません。しかし、たくさんの人にまるで「接種するな」というような情報を言ってまわることも間違いです。いわんやいちぶの過激な人たちのように接種会場に押しかけて来て、「ワクチン接種は犯罪だ」と叫んで業務を妨害することは許されません。ワクチンを打たないことは自由ですが、接種しないことの代償・危険性も考えて判断しなければなりません。

あるTVのワイドショーで、アナウンサーがゲストとして出演していた医師(感染症の専門家ではありません)に「今の新型コロナは市販の風邪薬でも治っているケースがあるようですが、風邪薬を飲んでもいいのでしょうか」と質問したそうです。それに対する医師の答えを聴いて私は驚きました。その医師は「新型コロナで服用していけない薬などない。だから市販薬の風邪薬を服用してもいい」と答えたというのです。

これまでの私のブログを読んでいただいた方ならおわかりだと思いますが、風邪であれ、COVID-19であれ、一部の重症者に使用する薬を除いて、これらを「治す薬」など存在しません。どこかの医者が「なにも投与しないよりマシだから」と得意になって投与していた「イベルメクチン」も今では誰も見向きもしません。結局、投与しても意味がなく、無効だという結論になったからです(そんなことずっと前からわかっていました)。

余談ですが、塩野義製薬から発売される予定のあらたなCOVID-19経口治療薬の承認が見送られました。効果がはっきりしないばかりか、催奇形性などの副作用の問題や併用してはいけない薬が多すぎるからです。この審査の過程で厚労省の思惑と塩野義製薬と利益相反のある委員の疑惑が暴露されました。塩野義製薬はインフルエンザの治療薬でも問題を起こしています。先の治療薬は日の目を見ないかもしれません。

風邪薬は「風邪を治す薬」ではありません。ましてや「新型コロナが市販の風邪薬で治った」などということはありえません。このワイドショーに出演した医師はまずはそこを指摘しなければいけなかったのです。むやみに解熱剤を服用すれば、熱発を不必要に抑えて重症化を発見することが遅れることがあります。あるいは、体温が上がらず、ウィルス排除の仕組みが働きにくくなって感染症を長引かせることにもなりかねません。

ちゃんとした医師であれば、「むやみに解熱剤や風邪薬は飲むべきではない。風邪症状がつらいときのみに『やむを得ず頓服』という形で服用すること」と説明するべきなのです。そして、風邪症状があったからといって薬をもらいに医療機関に行く必要もないし、新型コロナに感染したかどうかを検査で確認する必要もない(早めに検査を受けても診断は不正確になるだけ)ということを付け加えるべきなのです。

これまで何度も繰り返してきたように、検査は「一番怪しいときに実施するもの」です。からだの中からあふれ出てきたウィルスを検出するのですから、検査が早すぎればウィルスはまだあふれ出てきていない可能性が高く、「陰性」と診断されたからといって安心はできません(検査をした後にウィルスがあふれて他人にうつすということもある)。それは抗原検査であれ、PCRであれ、検査はおおむねすべてがそうです。

そもそも検査をたくさんやっても感染はおさえられないということは今の中国を見ればわかるはずです。これはCOVID-19の感染がはじまった当初からいわれてきたことです。当時は盛んに検査をしろ、と叫んでいた人たちが今は口をつぐんでいることからも明らかです。それなのに岸田政権は「発熱外来を増やし、検査を増やす」と言っているようです。どうしてこうも学べない頭の悪い人たちは愚策を繰り返すのでしょう。

ちょっとした風邪症状で発熱外来を受診すれば、発熱外来に長蛇の列ができてしまうのも当然です。「なんとなく心配だから」というだけで検査をすれば、検査キットが不足して本当に必要な人が検査できなくなるのも当然です。岸田首相が発表したようにむやみに発熱外来をふやせば、それらに拍車がかかります。しかも、うっかり発熱外来や検査場所に行けば、そこで感染する危険性だってあるということを知っておくべきです。

「風邪症状があるがどうしたらよいか」と当院にお電話をいただくことがあります。しかし「熱はない」といいながら解熱剤(頭痛薬、痛み止め)や風邪薬をすでに服用している人が少なくありません。また、風邪症状も鼻水が出る程度だが「心配だから」という人もいます。そのような人たちには「もう1日か2日ほど様子を見てまたご相談を」とお話しします。すると中には「なぜ診てくれないのか」と不満そうな方もいます。

診療を拒否しているのではありません。経過観察はとても重要なことなのです。「熱がある」というお問い合わせの場合ですら、とくに重症化の心配がないケースは「解熱剤を飲まないで様子を見てください」とお話しします。喉の痛みや咳がつらいというケースにのみ対症療法の薬をお出ししますが、これとて本来は必要のないもの。発熱外来への受診が必要だと判断した場合のみ「発熱外来で検査を」とお勧めしています。

経過を見ている患者の中で「今後、重症化するかもしれない」と思う方には、翌日から朝と夕方に電話連絡をして状況を確認しています。そして、重症化を疑うときは「発熱外来を受診してください」と伝え、それまでの経過を紹介状に書いて病院に送ります。私たちのようなプライマリ・ケア医に期待されている役割はこうした「ゲート・キーパー」の機能だと思います。そうした機能の分担をしなければ医療は崩壊します。

実際、「医療崩壊になるのか?」と心配する人もいます。確かにこれだけの人が発熱外来を受診し、検査を受けたがり、入院を希望すれば、病院の機能はやがて限界に達します。そして、それを助長するように、マスコミが煽り、人々がパニックとなり、政府がうろたえているように見えます。今のCOVID-19の病原性は恐れるほどのものではありません。それでも「医療崩壊」が起こるとすれば、それは社会不安にともなう人災です。

風邪症状があるときは仕事や学校を休んでください。風邪薬はできるだけ服用しないでください(服用する必要はありません)。検査は必要な人が一番怪しいときにおこなってください。会社や学校はむやみに検査することを求めないでください。発熱外来は重症化の恐れがある人だけが受診してください。医療機関を受診するときは事前に電話をしてください。こうしたことを発信するのがマスコミの本来の使命であるはずです。

「過去最多の感染者数」などという言葉にだまされないでください。感染の深刻さは「重症者数」で考えるべきです。しかも重症者数を感染者数で割った「重症化率」が重要です。その重症化率で言えば、今の第七波は従来のインフルエンザの重症化率の10分の1程度だともいわれています。確かに感染者数が増えていますが、それに比べて重症者の数はきわめて少数です。どうか大騒ぎをする愚かな人たちに煽られないでください。

せめてこのブログを読んでくださっている人だけは冷静になって、淡々と行動してください。原発事故のときもそうでしたが、マスコミから流れてくる情報は偏っていることが多いのです。マスコミによく登場する「専門家」と称する人たちはあてになりません。厚労省の専門家会議の委員ですら本当の意味での「専門家」は少ないのです。かつてどんなことを言っていたかを振り返れば誰を信じていいのかがわかります。

COVID-19が流行してもう2年以上が経ちます。過去の経験に学びましょう。そして、烏合の衆にならないようにしましょう。今回の流行のピークまでもうひと踏ん張りです。

 

※1 お時間があれば、これまでのCOVID-19関連記事をお読みください。

右上の検索エンジンで「新型コロナ」と検索すると記事がでてきます。

以前からずっと同じことを繰り返して書いていることがわかります。

※2 今のモヤモヤした気持ちを吹き飛ばす歌を思い出しました。

1986年に発表された、Swing out sisterの「Breakout」です。

是非、聴いてみてください(曲のタイトルをクリックしてください)。 

 

暑い夏に思うこと

まだ6月だというのに、あっという間に梅雨が明けてしまいました。例年であれば毎日うっとうしいくらいに雨雲が垂れ込め、地方によっては連日の大雨に警戒警報がでるほどなのに今年はどうしたのでしょうか。この降雨量の少なさはお米の生育に影響するかもしれません。米は高温・多湿の地域に生育する食物。降るべきときに雨が降らなかった今般の気象が秋の収穫にどのような形で現れるかとても気になります。

そしてこの暑さです。「夏は暑ければ暑い方がいい」と考える私でさえ、このところの連日の暑さは心配になるほど異常です。実は私は二度ほど熱中症になったことがあります。しかもそのときの様子を思い出せば、それなりに重症だったと思います。テレビなどでも「熱中症」というワードをよく耳にするようになりましたが、多くの人は熱中症を身近なものと思っていないのではないでしょうか。

はじめて熱中症になったのは次男がまだ幼稚園にあがるかあがらないかのころ。夏休みに家族旅行で日光に行き、家康がまつられている史跡を見ようと山道を登っているときのことでした。からだが小さかった次男を背負ってしばらく歩いていると、突然大量の汗が噴き出してきました。山の中ですからそれほど暑かったわけでもなかったのですが、私は「滝のような汗」をそのままにして山道を歩いていました。

はじめはとくにツラいという感覚もなく、冗談をいいながら私は道を登り続けました。ところが、もう少しで目的地というところで急にからだが重くなってきました。子どもには「あと少しだから自分で歩いて」と背中から降りてもらい、身軽になったと思ったとき全身から力が抜けていくのを感じました。「どうしても横になりたい」という気持ちにかられた私は周囲の目もはばからず通路に横になったのでした。

横にはなりましたが、なんとも言えない倦怠感と軽い嘔気はなかなか改善しませんでした。心臓もバクバクいっていて、私は「これが熱疲労なのかぁ」と考えていました。地べたにダウンしている私を見下ろす家内と長男はゲラゲラと笑っています。彼らを心配させてはいけないと私もなんとか微笑みを返しましたが、内心「この脱力感と動悸は血圧がさがっている証拠。ちょっとやばいな」と思っていました。

しかし、山の中でのことですから直射日光が当たっているわけではありません。気温だってそれほど高くはありません。体が冷えてくるにしたがって徐々に回復していきました。家内と子ども達はそんな私をおいたままさっさと家康のお墓へと登っていきました。熱疲労は大量の水分と塩分を失って起こります。夏場は「たくさんの汗をかいたら水分と塩分を補給する」ことが大切。決して水分だけではいけません。

二度目の経験も夏でした。人間ドックで胃カメラ検査を受けたあと、水分の摂取もそこそこに帰宅を急いだのでした。最寄りの駅から自宅までは徒歩で30分ほど。健診が終わった安堵感か、気分も少し高揚していたこともあって、「暑い中を歩いて帰ろう」と考えてしまいました。照りつける日差しも、吹き出す汗も、心なしか気持ちよく感じていて、以前、日光で熱中症になったことなどすっかり忘れていました。

全身に太陽が照りつけ、途中、「自販機でなにか冷たいものでも買おうか」と考えましたが、家に帰って、シャワーをあびて、冷たいものを一気に飲んだらどんなに気持ちいいだろうなどと想像しているうちに自宅まであと少しというところまで来ました。「滝のように流れ落ちる汗」もそのままに私は歩き続けました。角をまがってあと数十メートルもすれば自宅、というところで熱中症の症状は突然やってきました。

日光のときのような全身の強い倦怠感が襲ってきたのです。私はあのときの体験を思い出しました。吹き出す汗、すぐにでも横になりたい気だるさ、激しい動悸と軽い嘔気。あのときとまるで同じ症状です。私は自宅を目の前にして歩けなくなってくるのを感じました。「家にたどりつけないかもしれない」と思いました。なんとなくもうろうとしてきたのを自覚しながら、倒れ込むようにして玄関に入りました。

驚いて駆け寄ってきた家内に、冷たいタオルと冷たいスポーツ飲料をもってくるように頼みました。日光のときよりも重症のように感じました。日光の山の中と違ってさえぎるもののない炎天下。気温も湿度も、また失う汗の量も全然違うのです。回復したあとで私は思いました。1984年のロサンゼルスオリンピックの女子マラソンで熱中症となったアンデルセン選手に近い状況だったのではないかと。

あのときのアンデルセン選手は「労作性(運動性)熱中症」だったといわれています。激しい運動により水分と塩分を失い、上昇した体温がさがらなくなる「労作性熱中症」になっていたのです。運動による体温上昇がはげしく、冷却されにくい環境であれば、必ずしも気温が高くなくても熱中症にはなります。そして、横紋筋融解症(筋肉が壊れる病態)や中枢神経障害をも引き起こすこともあるとされます。

このとき私は学びました。「熱中症は突然やってくる」のだと。畑仕事をしていた高齢者が熱中症で亡くなったというニュースをよく耳にします。かつて私は「そんなになるまでなぜ仕事をしていたんだろう」と疑問でした。しかし、違うのです。亡くなった人たちは「滝のような汗」をかきながら「もう少しできる」と思っているうちに、突然、熱中症の強い倦怠感に襲われ、地べたに倒れ込んだまま亡くなったのです。

今回のブログを読んでくださっている方の多くも、心の底では熱中症と自分は縁遠いものと思っているかもしれません。そして、「熱中症になりそうになったら休むから大丈夫」だと思っているはずです。しかし、「熱中症になったかな?」と思ったときではもう遅いのです。熱中症は突然やってくるのです。しかもその症状は私ですら立っていられないほど強い倦怠感なのだということを知ってください。

「滝のような汗」がではじめたらただちに涼しい場所に移動してください。そして、水分と塩分を補給してください。高温あるいは多湿の環境に長時間身をおかないことが大切です。「エアコンの冷房は嫌いだからつけない」という人がいます。しかし、「好き、嫌い」の問題ではありません。熱射病で亡くなる人の多くが冷房をつけていません。窓を開けて風通しのよい室内であっても、湿度が高ければ除湿が必要です。

政府は国民に電力の消費を抑えるよう要請しています。要するに冷房の使用を控えるようにということです。節電した国民にはポイントを付与し、節電に協力しなかった企業には罰則をもうけるという話しもあります。しかし、そのポイントも実はひと家庭あたり一ヶ月で数十円程度だということがばれ、急遽一回だけ2000円分の追加付与が決まりました。節電しない企業には罰則だなんて愚策は論外もいいとこです。

今、原油が高騰しています。それでなくても日本は、なんの法的根拠もなく、科学的根拠もないままに原発が止められています。史上類を見ない大地震が発生するリスクが低下しているのにまだ原発を停止しているのです。しかも、その原発での発電量をカバーするためにこれまで何兆円もの燃料費を余分に支払って火力発電をフルに稼働させているのです。今の原油高は円安でさらに燃料コストをつり上げています。

原子力発電所の多くが停止していますが、そのリスクは発電しているときとほとんどかわりません。発電はやめても原子力の火は灯っているからです。遠いヨーロッパでの戦争がアジアに飛び火し、日本に原油が入ってこなくなる事態も想定して、原発再稼働の必要性が議論されないのは実にゆゆしきことです。先の震災での原子力発電所事故の原因は、想像を超える津波が原因だということをあらためて考えるべきです。

新型コロナに対する政府の対応は、ずっと「検査、検査」「ワクチン、ワクチン」、そして「マスク、マスク」でした。この幼稚で、単調で、ピントはずれな無策ぶりはこれからも続くでしょう。この猛暑で電力が不足しブラックアウトが起こるかもしれないのに、国民に節電要請を繰り返すだけというのは実にお粗末な話しです。そんな小手先のことではなく、国民の命を守るために今こそ原発を再稼働させるべきです。

批判を恐れてなにも言わない、あるいは小手先の政策を小出しすることしかできない政治家たちにはあきれるばかりです。その一方で、理想論を繰り返すだけでなにもしない政治家はもとより、根拠希薄な週刊誌ネタを国会に持ち込んで騒ぎ立てるだけの政治家は不要です。この猛暑が続く中、参院選挙があります。国民には世界の現実に目を向け、日本の未来のために賢明な一票を投じてほしいものだと思います。

政治家の質は国民の民度を反映しています。いろいろな意味で今年の夏はいつになく暑いようです。