先日のブログでお知らせしたように、ついに今日、全国の新型コロナウィルス感染者の実効再生産数が1.0を切りました。お盆休みの帰省が影響しなければ、第7波もピークアウトになるかもしれません。各都道府県の実効再生産数を見ても感染者が多い都道府県ほど実効再生産数が1.0を切っており、兵庫県を除いて上位12都道府県はいずれも1.0以下になっています。
感染の拡大が収束に向かうかも知れまでんが、まだまだ感染のリスクは高い状態が続きます。気を緩めずに、手洗いとうがいの励行、マスクエチケットを継続して下さい。そして、風邪症状のあるときは仕事や学校を休み、風邪薬(や鎮痛剤、解熱剤)を服用せずに自宅内隔離で経過観察すること。くれぐれも軽症なのに発熱外来を受診しないでください。症状がつらいときのみ対処療法薬を服用し、呼吸回数の多くなるような息苦しさや4日以上続く高熱があるときこそ発熱外来に電話で相談してください。
今、「ワクチンを接種しても新型コロナにかかっているからワクチンを接種しても意味がない」というデマが流れています。ワクチン接種から時間がたてば中和抗体が減少して感染しやすくなります。イスラエルのワクチン接種済みの医療従事者のうち、3回接種した人と4回接種した人でブレイクスルー感染をした人の割合はそれぞれ20%と7%でした。また、重篤なケースや死亡者はいなかったとも報告されています。ワクチンが無効だと思われるようなごく少数のケースをことさらに強調するデマに惑わされないで下さい。
その一方で、厚労省と日本小児科学会が勧めている「小児へのワクチン接種」に私は懐疑的です。以前にも申し上げたように、小児は新型コロナウィルスに感染しても重症化するリスクはそれほど高くありません。にも関わらず、免疫システムがまだ十分に発達していない小児に安全性が十分に確立されているとはいえない(治験の途上にもある)ワクチンを繰り返し接種することは、リスク(危険性)とベネフィット(効果)の観点からも「努力義務」を課すようなものではないはずです。
ワクチンは接種することも自由ですが、接種しないこともまた自由です。新型コロナウィルスが「恐ろしい感染症」と思われていた頃ならまだしも、今の新型コロナウィルスによる感染症はまるで風邪のようなものです。そんなときにワクチン接種を強いることはできません。4回目のワクチン接種がまさにそれです。私自身は接種する予定ですが、職員には自由意志に任せています。ただし、ワクチンの恐ろしさを強調して「ワクチンを打つな」と同調圧力をかけることも間違いですから念のため。
また、検査を過信することも間違っています。これもこれまで繰り返してきましたが、「検査は一番怪しいときにおこなうもの」です。難しい言い方をすると、「検査は事前確率をあげておこなうもの」なのです。医学部の学生でさえ誰でも知っているような基礎知識がなおざりにされています。「誰もが、いつでも受けられる検査」をまるでいいことのように言っている医者すらいるのには驚きです。検査は「陽性」であることに意味があっても、「陰性」だからといって「コロナじゃない」と言えないのです。
同じことを繰り返して「耳にタコ」かもしれませんが、「経過観察の重要性」「薬や検査の必要性」についてはあらためて考えていただきたいと思います。いずれにせよ、今の感染拡大には歯止めがかかりそうです。でも、再び流行が拡大するときがまたやってくるかもしれません。そのときのためにも、正しい知識を身につけて備えていただきたいと思います。