子ども達に伝えたいこと(2)

7月1日(水)に柏市立土中学校で講演して来ました。これまでの中学校でおこなった講演の多くは、「医師という職業」について。中学生の皆さんが将来どんな職業につくのか。それを考えるきっかけになるような内容でした。でも、今回は「失敗や挫折の大切さについて」というテーマ。それまで勉強もせず、成績も振るわなかった中学生の私が、その後、どのようにして医師になったかをお話ししました。私の「失敗と挫折」の人生が中学生の心に響くかもしれないと思ったのです。

講演を依頼していただいた校長先生からは「生徒達が元気になるお話しを」と頼まれていました。私のような体験をした人はおそらくいないでしょう。なんども失敗し、挫折を繰り返しながら、その都度、いろいろな人との出会いが私を支えてくれた。こうした半生から、きっと中学生の皆さんに何かを感じてもらえるはず。今の中学生は、生まれてからずっとデフレの社会に生きてきました。昔にくらべておとなしい生徒が多くなったとも聴きます。そんな彼等を、私の経験談で元気にできれば、と意気込んで会場に向かいました。

会場となった中学校の体育館には、一年生から三年生までの250人あまりが集まってくれました。硬い床に体育座りをした彼等を前に、プロジェクタに映し出されるスライドを流しながらお話ししました。約一時間でしたが、できるだけ飽きないようにお話しの内容を工夫したつもりです。生徒さん達の視線を追い、つまらなそうにしていないか、わかりにくいものになっていないかを確認しながらのお話しでした。しかし、そんな私の配慮がいらなかったくらい、生徒さん達は真剣に聴いてくれました。

生徒さんを見渡すと、瞳をキラキラさせながらスライドを見ている人、乗り出すように聴いてくれている人、手元のノートに一生懸命メモをとっている人もいました。一時間も硬い床の上に座っての聴講だったので、さぞかし疲れただろうと思います。でも、ついこの間まで小学生だった一年生も、高校受験であせりはじめているだろう三年生も、あるいは遊びたい盛りの二年生も、聴いているときの様子を見ていると、私が言いたかったことをしっかり受け止めてくれていたようでうれしかったです。

後日、校長先生から生徒さんの感想が送られてきました。その感想を読んでみると、私が言いたかったことが確かに伝わっていたようでした。感想の中には、中学生たちの感性の高さを感じるひと言がたくさんありました。「こんな素晴らしい文章が書ける中学生がいるんだ」と感心する立派な文面もありました。そこで、当ブログを読んでいただいている皆さんにも、生徒さん達の感想を読んでいただきたいと思います。その感想のごく一部を全学年・順位不同でご紹介します。

なお、感想を当ブログに掲載することは校長先生の了承済みです。

 

***************************** 以下、生徒さんの感想

 

一回、二回の挫折で人生は終らないという言葉。挫折をしたときに、自分がどう対応するかによって人生が変わるとわかったから、挫折をしてくじけるのではなく、そこからまた頑張るということ。

私は飽きっぽく、あきらめやすい性格をしていますが、もし挫折しかけたときはこの講演のことを思い出して、「またいちからやってみよう!」とチャレンジしたいと思うことができました。

今年は受験で、一度や二度の失敗で人生は決まらないという言葉に勇気づけられました。でも、自分が受験で成功するためにできることはたくさんあると思うので、最後まであきらめず、ねばりづよく、自分の決めた道にしがみつきたいです。また、「何をするか。そのためになにができるか」は、これから自分自身に問い続けたいと思います。これからの人生で、この問いを自分で問い続けて、振り返ったときに、そのひとつひとつの目標にしがみつき、何かを得られていたら、自分の人生には意味があったなと感じると思います。

なんど挫折をしてもやり直すことができる。「あ~試験が不合格だった。もうだめだ、、、」などと思ったりしたときに、「あ~試験が不合格だった。でも、もう一回やってみよう」という風に考えられるようになろうと思いました。

一度の挫折や失敗で人生は終らないというお話しを聞いて、失敗などを恐れずになにごとにも挑戦していきたいなと思った。

生きていくうえで思ったことは、何回もやり直して、やり直して、やり直して、結果が実るのだから、僕もあきらめずに勉強などに取り組みたいです。今からでもいいから将来自分がつきたい職業で働けるように頑張りたいと思いました。

なんど挫折してもあきらめずに挑戦する強さが大切なんだなと思いました。私は小学生の頃から獣医師という職業に憧れがありました。ですが、獣医師になるにはさまざまな資格をとらないといけなかったり、勉強もたくさんしないとなれない職業ということがわかってから、成績も悪く、あたまも良くない自分じゃ無理だとあきらめようと思っていました。ですが、今回のお話しを聞いて、やっぱりあきらめずに獣医師になるために頑張ろうと思いました。なので、今の自分だけをみてあきらめるのではなく、これからの自分がどうありたいかを考えて行動し、生活していこうと思います。

「もうダメだ」と思ったときに踏ん張るか踏ん張らないかで人の価値は決まるということ。人は踏ん張らなければならないときがあり、自分もその壁にぶつかったとき、踏ん張るのを諦めるのではなく、最後の最後まで踏ん張りたいと思いました。

人生に何度かある「ここぞ」というときに、しっかり踏ん張れるかで自分の価値が決まるので、ここぞのときにしっかりと踏ん張っていきたいです。また、努力はとても大切だということが参考になったので、しっかりと受験勉強を努力していきたいと思います。

「やると決めたときから始まっている」ということや、「ここぞというときに踏ん張れることが人間の価値を決める」ということです。たとえ、一度や二度、なんどでも壁にぶつかったとしても、最後まであきらめないということが大事ということがわかりました。

あきらめないことが何より大事なんだな、と思いました。私もテストが返されてもう無理だと思ったけど、そこで終るのではなくて、行動にうつすことが大切だと思いました。また、他人がどうとかではなく、自分がどうしたいかという言葉が印象に残りました。私はまわりのことを気にしすぎてしまう時があるので、この考えを覚えておきたいと思います。

テストで思うような点数が取れなくて、他人とくらべたりしてたけど、今からでも遅くないし、他人は他人、自分は自分。他人に何を言われても自分のことだから気にしなくていいんだ。くらべる必要がないとわかって、今日から頑張ろうと思えました!

私はよく、誰かと自分をくらべてしまったり、失敗したりしてネガティブ思考になり、前へ進めなくなったことがあったので、今回の話しを聞いて、くじけてもあきらめずに頑張っていきたいと思いました。

人生のぼんやりとした不安におびえていましたが、今回のお話しのおかげで失敗や成功などよりも、その後に踏ん張れるかで決まることを知り、ここぞというときに踏ん張れるようにしたいと思いました。

「勉強は今からでも間にあう」、「やろうと思った日がスタート」などが参考になりました。私は勉強のやる気がでず、あとでやろう、明日やろうの繰り返しなので、今日の講演を参考にし、勉強していこうと思いました。

高校受験はひとつの乗り越えなければならない壁にすぎないということが印象に残りました。私は高校受験がとても不安でした。今日の講演を聞き、少し気持ちが楽になった気がしました。

受験で人生が決まるわけではないと聞き、少し気持ちが楽になった。今、勉強ができなくても、これからやっていけばできるようになる。

今までの僕は、自分の将来の夢をもったことがありません。それは「きっとなれないから」が原因だと思っています。この今回の講演を聴き、たとえ無理かもしれないことでも、チャレンジしたいと思いました。

私は今年受験生ですが、勉強が大の苦手で、勉強をする気がまったくおきず、スマホをいじって終る毎日でした。ですが、今日の講演を聞き、なんど挫折して、なんど失敗してもあきらめずに挑戦する気持ちが大事なんだなと思いました。高校受験は人生の中での単なる通過点なので、ずっと苦しんで過ごす必要はないと考えると少し荷が軽くなり、少しづつですが勉強をやる気が出てきました。

 

************************* 以上

 

講演をして私がうれしかったのは、感想の中に「今は成績が振るわないけど頑張ろうと思った」、「話しを聴いて少しやる気が湧いてきた」という言葉が多かったこと。また、「今までどうしたらいいかわからなかった勉強のやり方がわかった」と書いてくれたこともうれしかったです。生まれ変わった中学生のときの私が、当時気づいたのと同じ気持ちを彼等が感じてくれたように思えたのです。そうした感想を読みながら、「その調子!これからの頑張りが大切なんだよ。ガンバレっ!」と応援したくなりました。

生徒さん達の心の中には、高校受験という得体の知れない不安がつきまとっているはず。そうした「壁」を突破してみせると意気込んでいる子もいるでしょう。一方、その壁があまりにも大きく見えて怖じ気づいている子もいると思います。でも、私は講演で強調しました。「高校受験はひとつの通過点にすぎない」と。高校受験ですべてが決まってしまうわけではありません。大人になり、社会に出てみればわかるとおり、高校なんてものが自分の人生に決定的な影響をあたえることなどほとんどないのです。

「有名高校に合格した」ということで慢心し、大学受験に失敗する人をたくさん見てきました。大人になってもなお「有名高校を卒業した」ことだけが自慢の人も見てきました。しかし、有名高校に進学すれば安泰だということもなければ、思いどおりの高校に進学できなかったからと希望をしぼませてしまう必要もない。希望する高校に入学しようが、できまいが、ひとえに「(高校受験が終って)これからの自分はなにをするのか」にかかっている。「頑張ろう!」と思ったときがスタートなのです。

 

私は第一希望の高校に入学しながら、校風があわないことに失望して無為な二年間を過ごしてしまいました。それは「他人は他人、自分は自分」だということに気づかず、ただ落胆するだけで努力することを怠ってしまったからです。また、大学四年生になるまで、医学部に再受験する決心がつかなかったのは、同級生たちは皆就職していくのに、自分だけが再受験を失敗し続けたらどうしよう。もしそうなったらみじめだとひとり思い込んでいたから。そんなときに「他人は他人、自分は自分」という言葉が私の背中を押してくれたのです。

「他人は他人、自分は自分」という言葉は、必ずしも「自分勝手に生きろ」ということではありません。そうではなくて、「他人の視線に振り回されるな」ということであり、「自分が納得できるような努力をすればいいだけ」ということ。誰かが有名大学に合格しようとしまいと自分には関係ありません。また、自分が有名大学に合格できてもできなくても他人にはまったく関係ありません。自分の履歴など他人に自慢することではなく、逆にまた他人に恥じることですらないのです。

最近、人の学歴を笑いのネタにしている動画がSNSで流れてきます。偏差値が高いとか、低いとか。大卒だとか、高卒だとか。そんなことで他人をからかって面白がる実に下らない動画です。インタビューを受ける人も笑って答えていますが、私などは「『おまえには関係ないだろ』と言ってやればいいのに」と思ってしまいます。その動画のユーチューバー自身は、有名大学に入学したものの卒業も出来ずに中退しているといいます。大学に入学した時点で終っている「中途半端な人間」に笑われる筋合いはないのです。

もちろん、偏差値の高い学校に行くこと、有名大学に進み、大企業に勤めることに意味がないと言っているのではありません。それを目標に努力することもまた尊いこと。だからといって、それは「自分自身の勲章」にすぎないのです。他人に誇らしげに自慢するようなものじゃない。よもや他人を笑いものにする道具であろうはずがない。「他人は他人、自分は自分」という言葉にはそういう戒めの意味もあるのです。子ども達にはそんなことにも気づいてほしいと思いながらお話ししています。

 

AIが急速に発達している現代社会は、近い将来、今とはまったく異質なものになるだろうといわれています。AIが普及することでホワイトカラーは減少し、ブルーカラーを中心とする社会になっていくというのです。実際、かつての花形産業だった業界ほど変化はめざましい。社会の変化に敏感な企業は学歴だけでは人材を選ばなくなっていくでしょう。今まで以上に「即戦力」が求められるようになるのです。そして、それは「学歴以外の真の実力をもった人たち」を採用できない会社は淘汰される社会・時代だということ。

中学生には「自分の人生はどうあるべきか」を考える大人になってほしいのです。人に言われるから、ではなく、他人の視線に左右されて、でもない。自分のあたまで「なにがしたいのか。そのためになにをすべきか」を考える大人になってもらいたい。と同時に「一度や二度の成功や失敗で人生は決まらない。人間は何度でもやりなおせるのだ」と前向きに生きてほしい。どんな子どもにも無限の可能性があります。中学生の皆さんには、私が経験してきたことを通じてそれに気づき、やる気スイッチを是非オンにしてほしいと思います。

 

生徒さんの感想に中に質問があり、回答を希望されていました。感想を書いてくれたお礼をかね、私なりの返事を学校に送りました。最後にそれを掲載して終りたいと思います(下記赤字をクリック)。

土中学のみなさんへ

 

 

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