とある家庭での会話です。他意はありません。とにかく聴いて(読んで)ください。
子:「新型コロナのワクチンって結局意味がなかったよね」
父:「なんでそう思うんだい?」
子:「だってあれだけの数の国民がワクチン打っても感染が治まらないじゃない」
父:「感染が治まるなんてのはまだまだ先のことさ」
子:「そろそろ勘弁してほしいよ」
父:「ほんとだな。日本だけじゃなく、世界中の人がそう思ってるだろうね」
子:「ワクチンを打ってもこうなるんだから、ワクチン接種なんてやめちまえばいいんだ」
父:「打ちたくなければ打たなくてもいいんじゃないか」
子:「今さらなんだよ。以前はワクチン接種を勧めていたくせに」
父:「『ワクチンなんて意味がなかった』って本当に思ってるんだね」
子:「逆に聴くけど、意味あった?」
父:「そりゃあったさ。ワクチン接種の効果は科学的にも示されているし」
子:「それじゃ、なぜ、今、こんなにたくさんの人が死んでいるのさ」
父:「怖い?」
子:「怖いに決まってるよ。この間の新聞にだって『過去最多の死者数』って書いてあったし」
父:「現象のほんの一面しか見てないとそう思うだろうな」
子:「どういう意味?」
父:「よく考えてごらん。100人の人が感染して1人の死者が出るのと、10000人の人が感染して
100人の死者がでるのとで違いがあるかい。どちらも致死率1%なんだよ。新聞が書いたように
後者は前者の100倍の死者数と大騒ぎするようなことじゃないでしょ」
子:「でも、感染者数は100倍になっているということは事実だと思うけど」
父:「その通り。それならそう書くべきでしょ。『感染者が100倍になった』とね」
子:「でも・・・」
父:「『感染者が100倍になった』という伝え方ではなく、『100倍の人が死んだ』と伝えるのは
間違っている。『100人の人が死んだ』かもしれないけど、『100倍の人が死んだ』わけじゃない
んだから」
子:「それなら『100倍の人が感染した』ってことは問題じゃないの?」
父:「状況によっては問題だろうね。たとえば新型コロナウィルスの感染がはじまったときのよう
に致死率が比較的高いままの状況が続いているなら感染者数が増えるのはもちろん問題だよ」
子:「今の致死率は低いの?」
父:「そうだよ。今のオミクロン株は従来の季節性インフルエンザよりも致死率は低いとの言われ
ているんだ。そもそも感染当初の新型コロナウィルスと今のウィルスは似て非なるものといえ
るかも。だって遺伝子がかなり変異してきているからね」
子:「遺伝子が変異すると感染力は高まるけど、致死率は低下するってこと?」
父:「一般的にはその傾向があるとされている。でも、今の致死率の低下にはワクチン接種が広く
おこなわれたことも大きく寄与しているだろうね」
子:「『ワクチン接種をしても結局は感染しているじゃないか』って言っている人たちもいるよ」
父:「いるだろうな。でもそれは当たり前なんだよ」
子:「ええっ? 当たり前って・・・」
父:「だって今流行しているのはBA.4、BA.5といわれる遺伝子型をもつウィルス。でも、多くの
人が接種してきたワクチンはそれには対応していないんだからね。効果が限定的になっても
仕方ない側面もある」
子:「ワクチンを打ったのに感染してしまったら・・・」
父:「そもそもワクチンの効果には感染予防という側面と重症化予防という側面がある。新型コロナ
ウィルスのワクチンに限らず、完全に感染は予防できないものなんだ」
子:「感染してしまうワクチンなんて意味が・・・」
父:「感染を完全に予防できればいいけど、重症化を予防することの方が重要じゃないか。実際に
今の感染状況は『感染者は多いが、重症化する人は比較的少なく、亡くなる人はもっと少ない』
っていえる。これはワクチン接種を広くおこなった結果なんじゃないかな」
子:「中国はワクチンを接種してきたのにあれだけの人が死んでるよ」
父:「日本とはワクチンの接種率も違うし、ワクチンの種類も違うからね。中国製の不活化ワクチン
は、日本が使用しているmRNAワクチンよりも効果が低いとされていたからね」
子:「感染者もあれだけ増えて、薬屋さんから解熱剤がなくなったみたいだね」
父:「船戸内科医院の先生から聞いただろ。『むやみに解熱剤使わないように。発熱も大切な生体
反応だよ』って」
子:「TVで言ってることとちょっと違うことをいうから信じていいのかわからない」
父:「まともな医者は船戸内科医院の先生と同じことを言ってるみたいだぞ」
子:「結局、ワクチンは打った方がいいの?」
父:「致死率が低下した今となっては個人の判断だろうな。打たなければ感染確率も、重症化する
危険性も高くなる。接種しない人はそうしたことを受容した上で、さらに他人にうつさない
ようにことさらに配慮しなければいけないよね」
子:「『他人のためにワクチンを接種するのはゴメンだ』といっている人もいるね」
父:「残念だけど、そういう人がいても仕方ない」
子:「今の新型コロナは風邪みたいなものだから、ワクチンを接種しなくてもいいのかな」
父:「ワクチンを接種したおかげで、新型コロナに感染しても風邪程度の症状ですんでいる人が多い
みたいだね。でも、コロナに感染したのに自分は風邪だと思って感冒薬を飲んで会社や学校に
行く人がいて、そういう人たちがまわりに感染を広げているんだよ」
子:「船戸内科医院の先生は『風邪薬は風邪を治す薬じゃないんだから、こちらもむやみに服用
しないように』って言ってるね」
父:「風邪薬で症状が軽くなると『治った』って思っちゃうからね。だから、今は風邪症状があれば
新型コロナに感染したと思うべきで、そのかわり心配せずに自宅内隔離で安静にしていればいい
ようだね」
子:「すぐに検査をすれば安心だしね」
父:「いやいや。船戸内科医院のブログにも書いてあったけど、検査は『一番怪しいときにする
もの』らしいぞ。陽性のときにのみ意味があって、陰性だからと言って『コロナじゃない』
って証明にはならないらしい」
子:「ということは検査も意味がないってこと?」
父:「そうじゃない。重症化しそうなとき、つまり、肺炎になってしまったかもってときにこそ
検査が必要だってことらしい」
子:「でも、熱があると学校からすぐに『検査をしたか?』ってすぐに聞かれる」
父:「学校や会社はアリバイ主義だからな。検査の意味がまるでわかってないんだよ」
子:「検査をしないと学校にもいけないからなぁ」
父:「本来、風邪症状があったら学校や会社を休むべきなんだよ。他人にうつしちゃうからね」
子:「学校より病院にいくべきってことだね」
父:「でも、本来、風邪であるにせよ、新型コロナにせよ、特効薬なんてないからね」
子:「薬がない?」
父:「そう。基本的には家で安静にしていればいい。そうするしかない」
子:「それならなんでみんなは薬をもらいに病院にいくの?」
父:「それは『ツラい症状』を軽減する薬をもらいにいくんだよ」
子:「症状がつらくなければ薬はいらないってこと」
父:「そのとおり。家で安静にしていればいいだけ」
子:「それで具合が悪くなったらどうするのさ」
父:「そのときはかかりつけの医者に電話で相談すればいい」
子:「TVでは『風邪症状がでたら早めに病院へ』っていってるけど」
父:「早めに病院へ行ってなにをするんだい?」
子:「そんなこと素人にはわからないさ」
父:「病院に行くだけで、人からうつされたり、人にうつすリスクがある」
子:「なにがいいことなのかわからなくなりそうだ」
父:「確かに。でも、船戸内科医院のブログをもう一度読み直して整理してみたらどうだい」
子:「うん。そうするよ」
いい会話ですね。では、皆さん、くれぐれもご自愛ください。